景気や社会情勢などが目まぐるしく変化する現代社会、役員運転手の所属する運転手派遣サービス会社と交わした雇用契約を見直したいというケースも出てくることでしょう。果たして、一度交わした雇用契約書を途中で変更することは可能なのでしょうか?また可能である場合、どのような点に注意が必要なのでしょうか?ここでは役員運転手の雇用契約書の変更についてリサーチした内容をとりまとめてご紹介していますので、参考にしてみてください。
一般的に「雇用契約書」とは、雇用者と被雇用者の間で交わされるものであり、雇用に関する契約内容を書面にまとめたものです。この雇用契約書は、実は法律で作成が義務付けられている訳ではありません。しかしながら口約束だけでは後々、就労時間や賃金などで問題となる可能性が高くなるため、多くの会社では雇用契約書を作成する傾向にあります。
また役員運転手との雇用契約書は、正社員、契約社員、パート/アルバイトといった雇用形態ごとに、記載する内容も異なってきます。例えば正社員の場合は使用期間の有無や期間、他の部署への異動の可能性、休日出勤や時間外労働に関する取り決めなど。契約社員であれば契約期間と更新の有無など。パート/アルバイトであれば、昇給や賞与の有無などを記載しておくべきです。
結論から先に申しますと、役員運転手と雇用主との間で交わされた雇用契約書の内容を、後から変更すること自体は可能です。しかしながら、どちらか一方の(多くの場合は雇用者側)都合で無理矢理内容を変更するといったことは不可能です。雇用者と被雇用者の双方の合意が必要であり、また注意すべき事柄も存在しています。より詳しく見ていきましょう。
雇用契約書を変更するための条件として筆頭に挙げられるのは、雇用者(会社)と被雇用者(役員運転手)との間で、契約内容の変更に双方が合意していることです。どちらかの一方的な思惑によって、契約内容の変更を強いるということは認められていません。労働契約法の第8条においても「労働者と使用者(会社)は、その合意に基づき、労働契約の内容である労働条件を変更できる」と規定されています。
その上で雇用契約書を変更するやり方としては、現行の契約を一旦破棄して新たな雇用契約書を作成し締結するという方法がひとつです。もうひとつは、現行の雇用契約書をベースとしながら、変更部分に関して双方で覚書や同意書を作成するというやり方もあります。
上記の通り、雇用契約書の変更は雇用者と被雇用者の間で合意があることが大前提となりますが、運転手側が不利益となる変更の場合は、所定の条件をクリアしていなければなりません。その条件とは、件の不利益な変更に対する同意が、運転手本人の「自由意志に基づくもの」であること、なおかつ運転手にとって不利益となる変更が、客観的に判断してやむを得ないと認められる合理的な理由がないこと、です。
こうした条件の根拠となっているのは、労働契約法の第10条です。立場の弱い被雇用者を守るという前提に立ち、運転手側が不利益となる変更は、たとえ運転手本人の同意と署名・捺印があったとしても、合理的な理由が存在しない場合は、雇用契約書の変更はできない可能性が高くなります。
とりわけ運転手側が不利益となる変更のなかで、最も大きく懸念される給与の減額に関しては、より厳格な判断が行われます。口頭のみでの合意は問題外です。書面において合意がなされた場合であっても、裁判所が給与の減額を認めなかったという判例も実際にありました。
運転手にとって不利益の度合いが大きくなる給与の減額の場合、仮に口頭での同意や書面上での署名・捺印があったとしても、本当に運転手の自由意志による同意なのかを、裁判所がより厳しくチェックします。雇用者サイドは、こうした現実を、しっかりと認識しています。
一方で、運転手にとって有益な契約内容の変更である、給与の増額の場合はどうでしょうか。多くの場合、運転手側には歓迎されることであり、合意が得られるケースがほとんどでしょう。とはいえ、安易にに考えることはできません 。例えば役員運転手が二種免許など、なんらかの資格を取得したことに伴い昇給するという場合で、なおかつ運転手以外の職務に異動する場合に給与額は元に戻るという場合は、そのことを明記しなければなりません。
また役員運転手ならではの事情として、残業代を増額するという場合には、増額分が定額残業代(固定残業代)の範疇なのかどうかといったことも明確にする必要があります。
以上の通り、役員運転手と一旦交わした雇用契約書を後から変更するということは決して安直に行えることではなく、なかなかに高いハードルが待ち構えています。とりわけ、給与の減額など、運転手側に不利となる変更に関しては、厳しい条件をクリアしなければなりません。そうした事実をしっかり踏まえた上で、役員運転手と雇用契約書を締結する際は、将来的な変更が極力必要ないような内容となるよう、派遣会社は慎重に運転手と雇用関係を結んでいます。
役員運転手派遣の利用・乗り換えを検討しているのであれば、まずは自社での用途を洗い出しましょう。その上で重視したいポイントを明確にし、自社に合ったサービスを選ぶ事が大切です。下記のページでは、おすすめの役員運転手派遣サービス3社を紹介しているので、ぜひチェックしてください。
選定条件:
※2023年4月1日時点のGoogleで「役員運転手派遣 大阪」と検索して出てきた大阪府に事業所を持つ契約形態が請負あるいは派遣の役員運転手派遣会社20社から労務管理に対応、運行実績があるドライバーを派遣すると記載があり、事故の補償対応を行うと記載がある企業をピックアップ。以下の特徴別で選定。
東京・日本交通:日経MJ(2022年10月19日発行)で13年連続(2010年~2022年)売上No1を受賞しているタクシー・ハイヤー会社
大阪相互タクシー:1日または3時間から時間単位の利用が可能なタクシー・ハイヤー会社
国際ハイヤー:外国語対応しV.I.Pの送迎実績のあるドライバーが運行すると明記しているタクシー・ハイヤー会社